就活生
「コンサルって何する仕事?」「戦略コンサルと総合コンサルは何が違うの?」「年収は高いけど激務なの?」──就活を始めると最初にぶつかる壁だ。
編集部
この記事では、コンサル・シンクタンク業界の全体構造を市場データとともに整理し、セグメントの違い・主要ファームの立ち位置・キャリアパス・選考の攻略法まで一気に解説する。2024年度の市場規模は広義で2兆3,000億円を突破し過去最高を更新中。個別ファームの詳細は各企業分析記事に譲り、ここでは業界の地図を持つことをゴールにしよう。
業界の全体像

| 国内市場規模 | 約1.5兆円(2025年・IDC Japan)。広義では約2.3兆円(2024年度・コダワリ・ビジネス・コンサルティング推計) |
|---|---|
| 市場成長率 | ビジネスコンサル年+9.8%(IDC Japan)。広義市場は年+13.0%(2017〜2024年CAGR) |
| セグメント構成 | 総合系63.7%・戦略系12.8%・シンクタンク系4.4%(2024年度・コダワリ推計) |
| 就活人気 | 東大・京大の就職人気ランキングで常にトップ10入り。各ファームとも新卒採用を拡大中 |
| 業界動向 | Big4の組織統合・連続的M&Aが加速。AI/DXが再編のドライバーに |
コンサルティング業界とは、企業や官公庁が抱える経営課題・業務課題に対して、外部の専門家チームが解決策を提言・実行支援する「知恵のサービス業」だ。
業界の成り立ち
日本のコンサルティング業界は、1960年代の外資系戦略ファームの進出に始まる。
1965年に野村総合研究所(NRI)が設立され、翌1966年にBCGが日本初の戦略コンサルオフィスを開設。1971年にはマッキンゼーが東京事務所を構えた。
バブル崩壊後の1990年代に経営再建・リストラクチャリング需要で外資系ファームが存在感を拡大。2000年代以降はIT化・グローバル化を背景に総合系・IT系が急成長し、2020年代にはDX需要の爆発で業界全体が過去最高の成長率を記録している。
2024年度の市場規模は広義で2兆3,422億円(前年比+17.0%)に達し、2017年からのCAGRは+13.0%という驚異的な成長を続ける。
ビジネスモデル
コンサルの対価は「人の頭脳×稼働時間」で決まる。主なモデルは3つだ。
| モデル | 仕組み | 採用するファーム |
|---|---|---|
| タイムチャージ型 | コンサルタントの稼働時間×単価 | 多くのファーム |
| 固定フィー型 | プロジェクト単位で総額を設定 | 戦略系に多い |
| 成果報酬型 | 改善額やKPIに連動して課金 | PEファンド案件等 |
なぜ「社員」ではなく「外部のコンサル」に頼むのか
たとえるなら、企業の経営企画部門が「かかりつけ医」だとすれば、コンサルタントは特定の疾患のために一時的に招集される「セカンドオピニオン外科チーム」だ。かかりつけ医は日々の経営を把握し長期的に付き合うが、社内のしがらみや過去の意思決定への配慮から、大胆な処方箋を書きにくいことがある。コンサルは案件単位で招集される「部外者」だからこそ、しがらみのない客観的な視点と、他社(他院)で積み重ねた症例データ(業界横断の知見)を武器に、短期集中で診断・処方を下して去っていく。
この「外部性」こそがコンサルという業態の存在理由であり、面接で「なぜ自社の企画部門ではなくコンサルに任せるのか」を説明できると、業界理解の解像度の高さが伝わる。
優秀な人材を採用・育成し続けることが競争力の源泉であり、これがコンサル業界が就活市場で積極的に人材を獲得する構造的な理由だ。
業界内の棲み分け

戦略コンサルティング
経営戦略の立案・M&A戦略・新規事業開発など、経営の最上流を少数精鋭で支援。プロジェクト単位の働き方で、論理的思考力と仮説構築力が問われる。市場全体の約12.8%を占める。
代表的な企業: マッキンゼー、BCG、ベイン、A.T.カーニー、ローランド・ベルガー
総合コンサルティング
戦略立案から業務改革・IT導入・運用保守まで一気通貫で支援。市場の63.7%を占める最大セグメントで、近年は戦略領域にも進出し境界が曖昧化。大規模プロジェクトが多くチームも大きい。
代表的な企業: アクセンチュア、デロイト トーマツ、PwCコンサルティング、EYストラテジー、KPMGコンサルティング
ITコンサルティング
IT戦略の策定やシステム導入の上流工程を担う。DXの追い風で急成長中。SIerとの違いは、技術の導入そのものではなくビジネス課題の解決を起点とする点。
代表的な企業: アビームコンサルティング、ベイカレント、シンプレクス、シグマクシス
シンクタンク
官公庁・公共機関向けの政策調査・研究・提言を行う。金融系の親会社を持つケースが多く、大規模SIを兼営するファームも。社会課題を俯瞰的に分析する力が求められる。
代表的な企業: 野村総合研究所、三菱総合研究所、日本総合研究所、大和総研
FAS(財務アドバイザリー)
M&Aアドバイザリー・企業価値評価(バリュエーション)・デューデリジェンス・事業再生を専門とする。Big4系FASが中心で、投資銀行やPEファンドとの協業案件が多い。会計・財務の専門知識が必須。
代表的な企業: デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー、PwCアドバイザリー、KPMG FAS、フロンティア・マネジメント
組織・人事コンサルティング
人事制度設計・報酬体系・組織変革・タレントマネジメントを支援。グローバル報酬サーベイや役員報酬設計など高度な専門性を持つ外資系が強い。人的資本開示の義務化で需要が拡大中。
代表的な企業: マーサージャパン、ウイリス・タワーズワトソン、コーン・フェリー、リンクアンドモチベーション
業界特化・ブティック
特定の業界や経営テーマに特化した少数精鋭のファーム。大手にはない深い業界知見と経営者との距離の近さが強み。近年はDX・ヘルスケア・エネルギー等の特化型が台頭。
代表的な企業: 経営共創基盤(IGPI)、ドリームインキュベータ、CDI、リブ・コンサルティング
コンサル業界は大きく7つのセグメントに分かれる。就活では「戦略・総合・IT・シンクタンク」の4分類で語られることが多いが、FAS・組織人事・ブティック系も含めて全体像を押さえておくと、志望先の幅と志望動機の解像度が変わる。
2024年度の市場構成は、総合系が63.7%で圧倒的な主役。戦略系は12.8%、シンクタンク系は4.4%にとどまる。FAS・組織人事・ブティック系は市場統計上の区分が異なるが、就活ではコンサル業界として一括りに扱われることが多い。
近年は総合系が戦略領域に進出し、戦略ファームがデジタル実装を手がけるなど、セグメント間の境界は曖昧になりつつある。BCGが2024年に伊藤忠とJV「I&Bコンサルティング」を設立してDX実装型に進出したように、戦略ファームも「提言だけでなく実行まで」にシフトしている。
「Big4」の監査法人とコンサル部門は別会社
PwC・EY・KPMG・デロイト トーマツという「Big4」ブランドは、実際には会計監査を担う「監査法人」と、経営コンサルティングを担う「コンサルティングファーム」が別法人として存在する。デロイト トーマツを例に取ると、監査を担うのは有限責任監査法人トーマツ、コンサルティングを担うのはデロイト トーマツ コンサルティングであり、採用選考も別々に行われる。
同じブランドを冠していても、監査法人は公認会計士を中心とした会計監査・保証業務が主務であり、本記事で扱う「戦略立案・業務改善・システム導入」を担うコンサルティング部門とはキャリアパス・求められる資格・選考プロセスが大きく異なる。説明会や求人情報で「Big4」と一括りにされることが多いため、エントリーの際は志望先が監査法人なのかコンサルティングファームなのかを必ず確認したい。
日系 vs 外資系の違い
セグメントと並んで重要な軸が日系か外資系かの違いだ。同じ「総合系」でも、カルチャーや働き方は大きく異なる。
| 軸 | 外資系 | 日系 |
|---|---|---|
| 評価制度 | Up or Out(成果主義・昇進か退職か) | 成果主義だが日系的な配慮も残る |
| 年収カーブ | 初年度から高い(600〜700万円〜)。昇格で急上昇 | 初年度は外資より低め。安定的に上昇 |
| 英語要件 | 日常的に使う(グローバルPJが多い) | 案件次第。国内案件中心なら不要 |
| キャリアの自由度 | 早期転職が前提。3〜5年で出る人も多い | 長期在籍者も多く、社内でキャリアを積む選択肢がある |
| 組織文化 | フラット・個人主義。個の実力が問われる | チーム重視・OJT型。組織で育てる文化 |
| 代表的なファーム | マッキンゼー、BCG、アクセンチュア、Big4系 | ベイカレント、アビーム、NRI、経営共創基盤 |
主要プレイヤーと競合構造

| マッキンゼー・アンド・カンパニー | グローバル戦略コンサル1971年東京開設。約320名の少数精鋭。日本のトップ企業の8割をクライアントに持つ |
|---|---|
| ボストン コンサルティング グループ(BCG) | グローバル戦略コンサルMBB中で日本最大の1,000名超体制。5都市展開。2024年に伊藤忠とJV設立 |
| アクセンチュア | 総合コンサル最大手日本最大の約29,000名。戦略からIT実装まで一気通貫。M&Aで能力拡充を推進 |
| デロイト トーマツ コンサルティング | Big4(日本売上トップ)コンサル単体1,932億円・約11,000名。2025年12月に3法人合併で統合組織化 |
| PwCコンサルティング | Big42,506億円・約5,130名。3年連続で年間1,000人規模の純増を継続 |
| 野村総合研究所(NRI) | シンクタンク+ITサービス最大手連結7,648億円。コンサルセグメント654億円。金融ITソリューションが収益の柱 |
| ベイカレント・コンサルティング | 国内独立系最大級1,161億円・5,467名。ワンプール型組織。2029年に売上2,500億円目標 |
業界マップ
コンサル業界の競合構造は主に3つの軸で整理できる。
グローバルファーム vs. 国内独立系
グローバルファーム(マッキンゼー、BCG、アクセンチュア、Big4系)はブランド力と海外ネットワークが強み。一方、国内独立系(ベイカレント、シンプレクス等)は俊敏な意思決定と透明性のある経営で急成長している。
ベイカレントは売上1,161億円(2025年2月期・前年比+23.6%)で独立系最大級に成長し、2029年に売上2,500億円を目標に掲げる。
戦略特化 vs. 総合一気通貫
市場成長の主力は「戦略→実装→運用」を一気通貫で担う総合型だ。アクセンチュアが約29,000名で日本最大。Big4ではデロイトがコンサル単体1,932億円で首位に立つ。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは年率約30%成長を継続し、5年で売上3.3倍に。Big4中で「台風の目」と呼ばれる急成長ファームだ。
M&Aが変える業界地図(2023〜2026年)
業界再編が加速している。
| トレンド | 主な事例 |
|---|---|
| 巨大化の加速 | アクセンチュアが5年で1万人増。ゆめみ・SI&C等を連続買収 |
| Big4の統合 | デロイト3法人合併(11,000名統合)、KPMG統括HD設立(5,000名体制) |
| 異業種参入 | 伊藤忠×BCGのJV設立、東京海上によるID&E買収(約980億円) |
| 海外M&A | NRIが米Convergence Technologies(約523億円)を買収し北米強化 |
AI/DXが再編の主要ドライバーとなり、SIer・デジタル企業の人材獲得型M&A(アクィハイア)が常態化している。
セグメント別・選び方ガイド
「どのセグメントが自分に合うか」を判断するために、主要な軸で比較する。
| 軸 | 戦略系 | 総合系 | IT系 | シンクタンク | FAS | 組織人事 | ブティック |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 年収水準 | 最高 | 高い | 高い | 中〜高 | 高い | 高い | 中〜高 |
| WLB | 厳しい | 改善中 | 比較的良好 | 安定 | 案件次第 | 比較的良好 | ファーム次第 |
| 選考難易度 | 最難関 | 高い | 中〜高 | 中 | 高い(会計知識) | 中〜高 | 中(少数採用) |
| 成長スピード | 最速 | 速い | 速い | 着実 | 速い | 着実 | 速い |
| 専門性の方向 | 経営全般 | 幅広い | テクノロジー | 政策・社会課題 | M&A・財務 | 人事・組織 | 特定業界 |
| 組織の規模感 | 少数精鋭 | 大組織 | 中規模 | 中〜大規模 | 中規模 | 小〜中規模 | 少数精鋭 |
当サイトではコンサル・シンクタンク業界から7社の企業分析を掲載している。各社の事業構造・強み・選考対策の詳細はこちら。
- 総合系: アクセンチュア、KPMGコンサルティング
- IT系: ベイカレント、アビームコンサルティング、シンプレクス
- シンクタンク: 野村総合研究所、三菱総合研究所
「なぜコンサルなのか」——併願されがちな隣接業界との違い
コンサルを志望する学生の多くは、投資銀行・総合商社・事業会社の経営企画も併願する。面接官は「なぜそれらではなくコンサルなのか」を必ず突いてくるため、違いを構造で理解しておきたい。
| 軸 | コンサル | 投資銀行(IBD) | 総合商社 | 事業会社の経営企画 |
|---|---|---|---|---|
| 売っているもの | 課題解決の「知恵」と実行支援 | 資金調達・M&Aの「実行力」 | 事業への出資・トレーディングによる価値創造 | 自社の意思決定そのもの |
| 資本を張るか | 張らない(第三者) | 一時的に仲介 | 自己資本で張る(当事者) | 自社の資本で張る(当事者) |
| 関与する企業数 | 複数(プロジェクト単位) | 案件ごとの発行体企業 | 出資先・取引先多数 | 自社1社のみ |
| 求められる資質 | 構造化・論理的思考 | 財務モデリング・交渉力 | 事業感覚・泥臭い実行力・投資判断力 | 社内調整力・自社への深い理解 |
| 経験の型 | 複数業界を横断で浅く広く | 金融・ディール軸で深く | 一つの事業に資本ごと長期関与 | 一つの会社に長期関与 |
業界トレンドと将来性

コンサル業界は今、4つの大きな構造変化の渦中にある。
1. DX・AI需要の爆発的拡大
あらゆる業界でDXが経営課題の最上位に位置づけられ、コンサルへの発注が急増している。特にAI/生成AI関連のプロジェクトは2024年以降に加速し、テクノロジー人材の争奪戦が激化。
IDC Japanは、2030年にかけてAI関連コンサルが市場成長の主要ドライバーになると予測する。
2. 戦略と実行の一体化
かつては「戦略を描いて終わり」だった戦略ファームが実行支援にまで踏み込み、総合系も戦略領域を強化。「提言から実装まで一気通貫」がクライアントの標準的な期待値となった。
3. GX・ESG・規制対応の拡大
カーボンニュートラル、SSBJ(サステナビリティ開示基準)、EU CSRD(企業サステナビリティ報告指令)、GX-ETS(排出権取引制度)など、環境・ガバナンス関連の規制対応コンサルが新たな成長領域に浮上している。
4. SAP 2027年問題
SAPの旧ERPサポート終了(2027年)に向けたS/4HANA移行プロジェクトが大量に発生。アビームコンサルティングをはじめ、ERP導入に強いファームが恩恵を受けている。
キャリアパス・年収・働き方

- 1
1〜3年目(アナリスト/コンサルタント)
リサーチ・資料作成・分析を通じてコンサルティングの基礎を習得。プロジェクト単位で多業界に触れられる。戦略系では「アソシエイト」、総合系では「アナリスト」と呼称が異なる。
- 2
3〜6年目(シニアコンサルタント/マネージャー)
プロジェクトの一部を主導しクライアント折衝も担う。マネージャー昇格で年収1,000万円超が一般的。ここで転職する「ポストコンサル」も多い。
- 3
6〜10年目(シニアマネージャー/ディレクター)
複数案件を統括し、新規クライアント開拓にも関わる。ファームによってはプリンシパル等の称号。年収1,500〜2,500万円。
- 4
10年目以降(パートナー/マネージングディレクター)
ファームの共同経営者。案件獲得・人材育成・ファーム経営を担う。年収は業績連動で数千万〜数億円。全コンサルタントの数%しか到達しない。
- 5
ポストコンサル
事業会社の経営企画・CDO、スタートアップ起業、PEファンド、官公庁など出口は極めて広い。3〜5年の在籍で十分な市場価値を得られるとされる。
年収レンジ(業界平均)
| 新卒(アナリスト) | 500〜700万円(戦略系は600〜700万円、総合系は450〜600万円) |
|---|---|
| コンサルタント(2〜4年目) | 700〜1,200万円 |
| マネージャー(4〜7年目) | 1,100〜1,800万円 |
| シニアマネージャー/ディレクター | 1,500〜2,500万円 |
| パートナー | 2,500万円〜(業績連動・数億円に達するケースも) |
コンサルのキャリアは「Up or Out(昇進か退職か)」と言われてきたが、近年は各ファームとも多様なキャリアパスを整備し、実態は変わりつつある。
働き方の実態
労働時間はセグメントによって大きく異なる。
| セグメント | 月間残業時間(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 戦略系 | 60〜80時間 | 繁忙期は深夜・休日稼働も。プロジェクト間に長期休暇あり |
| 総合系 | 30〜50時間 | 働き方改革が進み、大手は月40時間以内を目標に管理 |
| シンクタンク | 20〜40時間 | 官公庁案件の締切に左右されるが、比較的安定 |
年収水準は業界全体として高く、戦略系は新卒で600〜700万円、総合系でも450〜600万円からスタートする。マネージャー(入社4〜7年)で1,000万円超が一般的だ。
「3年で辞める」イメージがあるが、マネージャー以上まで昇格してから転職するケースも多い。入社段階から出口を意識する必要はなく、目の前のプロジェクトで成長することが最も重要だ。
就活ガイド(適性と選考対策)

コンサル業界の選考は、ケース面接(フェルミ推定+ビジネスケース)が最大の特徴だ。ほぼ全てのファームで課されるため、対策は必須となる。
コンサルの仕事のリアル
選考対策の前に、「コンサルタントが実際に何をしているか」を知っておこう。
プロジェクトは通常3〜6ヶ月単位。仮説構築→調査・分析→提言→実行支援のサイクルを回す。ジュニア層(入社1〜3年目)の日常は、議事録作成・データ収集・競合リサーチ・スライド作成が中心だ。
就活生
経営者に戦略を提案する華やかな仕事、というイメージがあるのですが……
編集部
クライアントの前でプレゼンするのはマネージャー以上が多い。若手の仕事は地道なリサーチとExcel・PowerPointの作り込みが大半だ。ただし「泥臭い作業の中で思考力が鍛えられる」のがコンサルの育成モデルであり、2〜3年で一気に成長できる理由でもある。
面接で落ちる志望動機の型
「地頭に自信があるので」「MBBに入れば市場価値が上がるから」——こうした志望動機を語る学生は多いが、面接官の評価は厳しい。
- 「地頭に自信があるので」で止まる: 論理的思考力は他業界でも通用する汎用スキルであり、それ自体はコンサルを選ぶ理由にならない
- 「MBBに入れば市場価値が上がるから」: 手段(市場価値向上)が目的化していると映り、入社後の成長意欲を疑われる
- 「色々な業界を見れそうだから」で止まる: 傍観者的な姿勢に見え、プロジェクトの当事者としてクライアントの意思決定に踏み込む覚悟が伝わらない
- 「経営者に近い仕事がしたいから」: 前述の通り若手の実態はリサーチと資料作成が中心。イメージと実態のギャップを埋めずに語ると「仕事を理解していない」と判断される
就活生
地頭やロジカルシンキングに自信があるのは、志望動機としては弱いんでしょうか?
編集部
弱いというより「そこで止まってはいけない」が正確だ。「なぜその力を「コンサルという場」で発揮したいのか」まで踏み込む必要がある。「特定の業界の当事者になるのではなく、第三者として複数の企業の経営課題の構造そのものに関わり続けたい」など、コンサルという業態の特性(外部性・横断性)と結びつけて語れると評価が変わる。
得られるもの・手放すもの
コンサルを志望するなら、トレードオフを理解しておきたい。
| 得られるもの | 手放す可能性があるもの |
|---|---|
| 成長スピード(2〜3年で事業会社の5年分とも) | 一つの専門を深く極める時間 |
| 高い年収水準(新卒500〜700万円〜) | ワークライフバランスの安定性 |
| ポストコンサルの選択肢の広さ | 「自分のプロダクト」を持つ実感 |
| 多業界の経営課題に触れる経験 | 長期的な人間関係(PJ単位でチームが変わる) |
セグメントの選び方
コンサル業界を志望するなら、「どのセグメントに興味があるか」を明確にすることが志望動機の説得力に直結する。
選考プロセスの全体像
- ES・Webテスト: 戦略系は独自テスト、総合系はSPI・玉手箱が多い。英語力を問うファームも
- ケース面接(1〜3回): フェルミ推定+ビジネスケース。思考プロセスを見る
- ジョブ(選考直結インターン): 2〜5日間のグループワーク。実際のコンサルワークを体験
- パートナー面接: 最終面接はパートナーとの1on1。志望動機の深さと人間性を評価
この業界が向いている人
就活生
コンサル業界に向いているのはどんな人ですか?
編集部
一言でいえば、「知的好奇心が強く、曖昧な問題を構造化して解くことにワクワクする人」だ。以下のチェックリストで自分との相性を確認してみよう。
- 「なぜ?」「本当にそうか?」と問い続けることが苦にならない
- 短期間で新しい業界・テーマにキャッチアップするのが好き
- チームで議論しながら答えを出すプロセスが好き
- 成長スピードを重視し、若手から大きな裁量を得たい
- 数字やデータから示唆を引き出すのが得意
- プレッシャーのある環境でパフォーマンスを発揮できる
- 将来のキャリアの選択肢を広く持っておきたい
逆に、一つの専門領域をじっくり深めたい人や、定型業務の安定感を重視する人は別の環境が合う可能性がある。ただし、ITコンサルやシンクタンクは総合系・戦略系ほどの激務ではないケースも多く、「コンサル=激務」と一括りにせずセグメント単位で検討することを勧める。
よくある質問
- コンサルは激務って本当?
- 戦略系は繁忙期に月60〜80時間の残業があり得るが、近年は各ファームとも働き方改革を推進し、総合系では月30〜45時間に収まるケースが増えている。プロジェクト間の谷間に長期休暇を取る文化もあり、ファームやプロジェクトによる差が大きい。
- コンサルに学歴フィルターはある?
- 公式には学歴フィルターを設けていないファームがほとんどだが、戦略系は東大・京大・早慶が採用実績の中心であり結果として高学歴の比率が高い。総合系・IT系は採用母数が大きく幅広い大学から入社実績がある。学歴よりもケース面接の思考力やジョブでのパフォーマンスが合否を分ける。
- コンサルの将来性は?AIに代替される?
- 国内市場は年+10%前後の成長が続いており、DX・GX・生成AI導入の需要が成長を牽引。定型的なリサーチ・資料作成はAIで効率化が進むが、経営課題の構造化や組織変革の実行支援は代替しにくい領域とされる。一方、コンサル倒産件数は2025年に過去最多の242件(帝国データバンク)に達しており、参入障壁の低さゆえの淘汰も進行中。
- コンサルのインターンはどう準備すべき?
- 多くのファームが夏・冬にジョブ型インターンを実施しており、本選考直結のケースが多い。ケース面接対策(フェルミ推定+ビジネスケース)は必須で、最低2〜3ヶ月の練習期間を確保したい。業界本を1冊読んだうえで、実際に声に出してケースを解く練習が効果的。
- コンサルに向いている人・向いていない人は?
- 知的好奇心が強く、曖昧な問題を構造化して解くことにやりがいを感じる人に向いている。短期間で新しい業界にキャッチアップする力とチームで成果を出すスタイルが求められる。一つの専門を深く極めたい人や定型業務の安定感を重視する人は別の環境が合う可能性がある。
出典・参考資料(16件)
- https://www.idc.com/resource-center/blog/japan-business-consulting-market-ai-growth-2030/
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000077691.html
- https://consul.global/post37872/
- https://www.mckinsey.com/jp/overview
- https://www.bcg.com/ja-jp/press/29march2024-jv-launch
- https://newsroom.accenture.jp/
- https://www.deloitte.com/jp/ja/about/press-room/nr20250523.html
- https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/annual-review/facts-and-figures.html
- https://ir.nri.com/jp/ir/finance/ifrs_highlight.html
- https://irbank.net/E32549/results
- https://www.abeam.com/jp/ja/recruit/about/numbers/
- https://ir.mri.co.jp/ja/finance/highlight.html
- https://www.rolandberger.com/ja/Locations/Japan/About/Who-we-are/
- https://www.businessinsider.jp/article/2501-bain-consulting-40-percent-growth-japan-ceo-demand/
- https://toyokeizai.net/articles/-/864455
- https://diamond.jp/articles/-/354709